SEO施策のROIを見ようとして、PVや検索順位だけを見ていないでしょうか。
PVが増えた。 検索順位が上がった。 記事本数も増えている。
それでも、問い合わせや商談が増えていなければ、事業成果としては判断できません。
SEOの目的は、単に多くの人を集めることではありません。 最終的には、自社の商品やサービスを検討する可能性がある読者と接点を持ち、問い合わせや商談につなげることです。
だからこそ、SEO施策のROIを見るときに重要なのは、PVの多さではありません。
見るべきなのは、問い合わせに近い読者を増やせているかです。
SEOのROIが見えにくい理由
SEOは、広告のように投資額と成果を短期間で一対一に結びつけにくい施策です。
記事を公開しても、すぐに検索順位が上がるとは限りません。 検索エンジンに評価され、順位が上がり、流入が増え、読者が比較検討を進めてから問い合わせに至ります。
つまり、SEOには成果が出るまでの時間差があります。
そのため、短期間のPVや順位だけを見て「成功」「失敗」を判断すると、SEO施策の本当の価値を見誤ります。
たとえば、公開して数か月しか経っていない記事を早く見切ってしまうことがあります。 反対に、PVは伸びているものの、問い合わせにほとんどつながらない記事を増やし続けてしまうこともあります。
SEOのROIが見えにくい理由は、SEOが成果につながらないからではありません。 成果に近い数字と、成果から遠い数字を分けて見られていないからです。
PVが増えても、問い合わせが増えるとは限らない
SEO施策でよくある失敗は、PVが増えたことで「SEOはうまくいっている」と判断してしまうことです。
もちろん、PVが増えること自体は悪いことではありません。 認知拡大や接点づくりには意味があります。
しかし、BtoBのSEOでは、PVの多さがそのまま売上貢献につながるとは限りません。
たとえば、用語解説や基礎知識の記事は、多くの人に読まれやすい傾向があります。 一方で、その読者がすぐにサービスを検討しているとは限りません。
「なんとなく調べている人」を多く集めても、問い合わせにはつながりにくい場合があります。
反対に、PVは少なくても、次のようなテーマを読んでいる人は問い合わせに近い可能性があります。
- 費用
- 比較
- 選び方
- 導入手順
- 失敗例
- 注意点
- 他社サービスとの違い
こうしたテーマを検索する読者は、すでに課題が明確で、何らかの解決策を探している可能性があります。
SEOのROIを見るときは、単純に「どれだけ読まれたか」ではなく、「どんな読者に読まれたか」を見る必要があります。
SEO記事は、役割ごとに評価する
すべての記事を同じ基準で評価すると、SEO施策の判断はずれます。
SEO記事には、それぞれ役割があります。
- 認知を広げる記事
- 課題に気づいてもらう記事
- 比較検討を進める記事
- 導入前の不安を解消する記事
- 問い合わせや資料請求に近づける記事
これらをすべてPVだけで評価すると、本当に重要な記事を見落とします。
認知を広げる記事は、PVが多くなりやすいです。 一方で、問い合わせ直前の不安を解消する記事は、検索ボリュームが小さく、PVも少ないかもしれません。
しかし、BtoBでは後者のほうが売上に近いことがあります。
たとえば、次のような疑問を持つ読者は、検討段階が進んでいる可能性があります。
- 費用はいくらかかるのか
- 導入で失敗する原因は何か
- 他社サービスと何が違うのか
- 自社でも使えるのか
- どの会社に相談すべきか
こうした読者に届く記事は、PVが少なくても価値があります。
SEOのROIを見るには、記事ごとの役割を分けて評価することが重要です。
SEOのROIを見るときは、数字を3段階で確認する
SEOのROIを見るときは、数字を3つに分けて確認します。
見る場所 | 目的 | 主な指標 |
|---|---|---|
Search Console | 検索結果で見つけられているかを見る | 表示回数、クリック数、平均掲載順位、CTR |
GA4 | サイト内で検討が進んでいるかを見る | オーガニック流入数、エンゲージメント率、平均エンゲージメント時間、キーイベント数 |
CRM | 商談・売上につながっているかを見る | 商談化率、成約率、顧客単価、LTV、顧客属性 |
この3段階で見ると、SEO施策のどこに課題があるのかを整理しやすくなります。
検索結果では見られているのに、クリックされていないのか。 クリックはされているのに、サイト内で読まれていないのか。 読まれているのに、問い合わせや商談につながっていないのか。
同じ「SEOの成果が出ていない」という状態でも、原因はまったく違います。
Search Consoleでは、検索結果で見つけられているかを見る
Search Consoleでは、サイトに訪問する前の動きを確認します。
主に見る数字は、次の4つです。
- 表示回数
- クリック数
- 平均掲載順位
- CTR
表示回数は、検索結果にページが表示された回数です。 狙っているテーマに検索需要があるか、検索結果に出る機会があるかを確認できます。
クリック数は、検索結果から実際にサイトへ訪問された回数です。 表示されていてもクリックされていなければ、タイトルやディスクリプションに改善余地があります。
平均掲載順位は、検索結果での順位の目安です。 リライトやコンテンツ改善によって順位が上がっているかを見るときに使います。
CTRは、表示回数に対してクリックされた割合です。 順位が高いのにCTRが低い場合は、検索意図に対してタイトルが弱い可能性があります。
Search Consoleで見るべきなのは、SEO記事が検索結果でどれだけ見つけられ、クリックされているかです。
ここで課題がある場合は、記事の中身以前に、キーワード設計やタイトル、検索意図とのズレを見直す必要があります。
GA4では、流入後に検討が進んでいるかを見る
GA4では、検索から訪問した読者がサイト内でどのように行動しているかを確認します。
主に見る数字は、次の4つです。
- オーガニック流入数
- エンゲージメント率
- 平均エンゲージメント時間
- キーイベント数
オーガニック流入数は、自然検索から訪問した数です。 Search Consoleのクリック数とあわせて見ることで、検索流入の規模を確認できます。
エンゲージメント率は、訪問後に意味のある行動をした割合です。 記事を開いてすぐ離脱しているのか、ある程度読まれているのかを判断できます。
平均エンゲージメント時間は、読者がコンテンツに向き合っていた時間の目安です。 極端に短い場合は、冒頭や構成、検索意図との一致に問題がある可能性があります。
キーイベント数は、問い合わせ、資料請求、会員登録など、サイト上の成果につながる行動の数です。
GA4で見るべきなのは、検索から来た読者がサイト内で検討を進めているかです。
検索流入はあるのに行動が弱い場合は、記事内容、内部リンク、CTA、サービスページへの導線を見直す必要があります。
CRMでは、商談や売上につながっているかを見る
SEOのROIを判断するうえで、もっとも事業成果に近いのがCRMのデータです。
主に見る数字は、次のようなものです。
- 商談化率
- 成約率
- 顧客単価
- LTV
- 顧客属性
商談化率は、SEO経由で獲得したリードがどれだけ商談につながったかを見る数字です。
成約率は、その商談がどれだけ受注につながったかを確認する数字です。
顧客単価やLTVを見ると、SEO経由の顧客がどれくらい利益に貢献しているかを判断できます。
また、顧客属性も重要です。 業種、役職、企業規模などを見ることで、狙ったターゲット層を集められているかを確認できます。
SEO経由の問い合わせ数が増えていても、商談化しないリードばかりであれば、ROIは高いとは言えません。
反対に、問い合わせ数は少なくても、商談化率や成約率が高いなら、そのSEO施策は事業に貢献している可能性があります。
BtoBのSEOでは、流入数よりもリードの質が重要になる場面があります。
ROIの計算式だけでは、SEOの良し悪しは判断できない
ROIは、基本的には次の式で考えます。
ROI = 得られた利益 ÷ 投資額 × 100
SEOに置き換えるなら、SEO経由で得られた利益を、SEOにかかった費用で割って考えます。
ただし、SEOでは「得られた利益」をどこまでSEOの成果として見るかが難しくなります。
問い合わせ直前の記事だけをSEOの成果と見るのか。 初回接点になった記事も評価するのか。 商談化した問い合わせだけを見るのか。 資料請求やサービスページ遷移も中間成果として見るのか。
この前提が曖昧なままROIを計算すると、数字だけが一人歩きします。
特にBtoBでは、SEO記事がすぐに受注へ直結するとは限りません。 複数回の接点を経て、問い合わせや商談につながることが多いからです。
そのため、SEOのROIは「完全に正確な答え」を出すためだけに使うものではありません。
実務では、次の判断に使うべきです。
- どの記事を改善すべきか
- どの記事を増やすべきか
- どの記事は役割を終えているか
- どの記事をサービスページにつなげるべきか
- どのテーマが問い合わせに近いか
ROIを見ようとしているのに次の打ち手が決まらないなら、その効果測定は実務では使いにくいです。
SEOのROIは、レポートのための数字ではありません。 改善優先順位を決めるための判断材料として使うべきです。
SEO施策でよくあるROI判断の失敗
SEOのROIを見るときには、よくある失敗があります。
PVが増えたことで満足してしまう
もっとも多いのは、PVが増えたことでSEO施策が成功していると判断してしまうケースです。
PVが増えること自体は悪いことではありません。 しかし、問い合わせや商談につながっていないなら、事業成果としては不十分です。
BtoBのSEOでは、広く読まれる記事よりも、狭くても課題が深い読者に届く記事のほうが重要な場合があります。
PVが伸びている記事ほど、読者の質を確認する必要があります。
検索順位だけで成果を判断する
検索順位が上がると、SEO施策がうまくいっているように見えます。
しかし、そのキーワードが商談に近いとは限りません。
検索ボリュームが大きいキーワードほど、情報収集だけの読者も多く含まれます。 上位表示できても、自社サービスと距離が遠ければ、問い合わせにはつながりにくくなります。
順位を見ることは大切です。 ただし、順位だけで判断してはいけません。
そのキーワードで流入した読者が、どんな課題を持っているのか。 自社サービスで解決できる課題に近いのか。 問い合わせや商談につながる導線があるのか。
ここまで見て、はじめてSEO施策の価値を判断できます。
新規記事ばかり増やして、既存記事を放置する
SEO施策では、新規記事を増やすことに意識が向きがちです。
「次はどのキーワードで書くか」 「今月は何本公開するか」 「競合が書いているテーマをうちも書くべきか」
こうした発想は必要です。
しかし、既存記事を見直さないまま新規記事だけを増やしても、ROIが高まるとは限りません。
すでに検索流入がある記事。 あと少しで上位表示できそうな記事。 サービスページへの導線を改善すれば問い合わせに近づく記事。 内容を更新すれば、比較検討中の読者に刺さりやすくなる記事。
こうした記事があるなら、新規記事より既存記事の改善を優先したほうがよい場合があります。
SEOのROIを高めるには、記事本数を増やすだけでは不十分です。 既存記事の役割と成果を見直す必要があります。
SEOのROIを高めるには、改善優先順位を決める
SEO施策のROIを高めるには、すべての記事を同じように扱わないことが重要です。
記事ごとに、次の観点で整理します。
- 自社サービスとの距離は近いか
- 読者の課題は明確か
- 問い合わせにつながる可能性はあるか
- 検索順位を上げる余地はあるか
- 競合記事との差分を埋められるか
- サービスページや問い合わせへの導線はあるか
- 内容が古くなっていないか
この整理をすると、改善すべき記事が見えやすくなります。
たとえば、次のような記事は優先度が高くなります。
- 検索順位は悪くないが、問い合わせにつながっていない記事
- PVは少ないが、商談に近いテーマの記事
- サービスページへの導線が弱い記事
- 比較検討中の読者が読みそうなのに、内容が浅い記事
- 競合記事より具体性が不足している記事
反対に、PVが多くても自社サービスとの距離が遠い記事は、すぐに改善してもROIに直結しないかもしれません。
重要なのは、PVの多い順に直すことではありません。 問い合わせに近い記事から直すことです。
問い合わせに近い記事から直す
SEOの改善では、PVの多い記事から直すとは限りません。
優先すべきなのは、問い合わせに近い読者が読んでいる記事です。
たとえば、次のようなテーマは検討段階が進んだ読者に読まれやすい傾向があります。
- 費用
- 比較
- 選び方
- 導入手順
- 失敗例
- 注意点
- 他社サービスとの違い
- 導入前によくある不安
こうした記事を改善すると、単なる流入増加ではなく、問い合わせや商談に近い成果を狙いやすくなります。
改善するときは、本文を少し書き換えるだけでは不十分です。
次の点も確認します。
- 読者の悩みが冒頭で明確になっているか
- 自社サービスと自然につながる説明があるか
- 比較検討中の読者が知りたい情報が入っているか
- 不安を解消する説明があるか
- 問い合わせや資料請求への導線が自然か
- 古い情報が残っていないか
- 抽象論だけで終わっていないか
問い合わせに近い記事は、少しの改善で成果に近づく可能性があります。
だからこそ、SEOのROIを高めたいなら、新規記事を増やす前に、既存記事の中から改善余地のある記事を見つけるべきです。
つばめSEOでできること
SEO施策のROIを高めるには、記事を増やす前に、既存記事の状態を整理する必要があります。
ただ、実際にはこの整理が簡単ではありません。
記事数が増えるほど、どの記事を優先して改善すべきかが見えにくくなります。 PVの多い記事に目が行き、問い合わせに近い記事を見落としてしまうこともあります。 検索順位や流入数は見ていても、事業成果との距離までは整理できていないケースもあります。
つばめSEOでは、記事ごとの重要度や改善難易度をもとに、次に改善すべきコンテンツを整理できます。
単にキーワードや記事本数を管理するのではなく、どの記事が事業成果に近いのか、どの記事から改善すべきなのかを判断するためのツールです。
SEO施策を「作って終わり」にせず、改善前提で運用したい場合に役立ちます。
現在はベータ版のため、無料でご利用いただけます。
SEOのROIを見直すなら、まず既存記事を棚卸しする
SEO施策のROIを見直すなら、最初にやるべきことは新規記事を増やすことではありません。
まずは、既存記事を棚卸しすることです。
PVが多い記事はどれか。 問い合わせに近い記事はどれか。 改善すれば成果につながりそうな記事はどれか。 自社サービスから遠い流入を集めている記事はどれか。 サービスページへの導線が弱い記事はどれか。
この整理をしないまま記事を増やしても、SEO施策のROIは見えにくいままです。
PVや順位は大切です。 しかし、それだけではSEOの費用対効果は判断できません。
見るべきなのは、問い合わせに近い読者を増やせているか。 そして、その読者に届く記事を優先的に改善できているかです。
ROIを高める第一歩は、もっと記事を増やすことではありません。 問い合わせに近い記事を見つけ、そこから直すことです。
