SEOを学び始めると、最初に気になるのは「結局、何をすれば検索順位が上がるのか」だと思います。
タイトルにキーワードを入れる。記事をたくさん書く。被リンクを増やす。文字数を増やす。こういう話は、今でもよく出てきます。
ただ、ここで一度立ち止まった方がいいです。
SEOは、昔からずっと「ユーザーのために良い記事を書きましょう」というきれいな世界だったわけではありません。むしろ昔は、検索エンジンの仕組みの穴を突くような施策が、かなり普通に使われていました。今見ると雑に見えるやり方でも、当時は成果につながることがあった。
だからこそ、SEOの歴史を知らないまま学ぶと、少し危ないです。
古い成功パターンを、そのまま今の正解だと思ってしまうからです。
昔のSEOは、今よりずっと単純だった
昔のSEOは、今よりもずっと機械的でした。
検索エンジンは、ページの中にどんな言葉が入っているか、どんなサイトからリンクされているかを手がかりに、そのページを評価していました。もちろん今でも、キーワードやリンクは無関係ではありません。ただ、昔はその比重が今よりもわかりやすく、操作もしやすかった。
たとえば、あるキーワードで上位表示したいなら、そのキーワードをページ内に何度も入れる。関連するサイトからリンクを集める。ページを大量に作って、検索されそうな言葉を広く拾う。
かなり乱暴に言えば、検索エンジンに「このページはこのテーマについて書いています」「このページは他のサイトから評価されています」と見せることができれば、順位が上がる余地がありました。
読者が読みやすいか。
内容に責任を持てるか。
誰が書いたのか。
その会社が本当に語れる内容なのか。
そういうことは、今ほど厳しく見られていなかった時期があります。
ここを美化しない方がいいです。昔のSEOには、たしかに裏技っぽい勝ち方がありました。
キーワードを詰め込めば上がった時代
1990年代から2000年代前半にかけては、キーワードを大量に入れるだけで順位が上がりやすい時期がありました。
本文に同じ言葉を何度も入れる。フッターにも入れる。メタタグにも入れる。ユーザーには見えにくい場所にまで入れる。いわゆるキーワード詰め込みです。
今の感覚で読むと、かなり不自然なページになります。
たとえば「SEO 初心者」という検索語を狙うなら、文章の自然さよりも、どれだけその言葉をページ内に置けるかを優先する。読者の疑問に答えるというより、検索エンジンに向けて信号を送り続けるような作り方です。
これが通用した理由は単純です。
検索エンジン側が、ページの内容を今ほど深く理解できなかったからです。ページ内に特定の語句が多く出てくれば、そのテーマとの関連性が高いと判断しやすかった。
でも、そんなページを読まされるユーザーはしんどいです。
同じ言葉ばかり出てくる。説明が薄い。知りたいことにたどり着けない。検索順位は高いのに、読んでみると役に立たない。検索エンジンから見れば、これは放置できません。検索結果の上位にそういうページが増えると、ユーザーは検索エンジンそのものを信用しなくなります。
SEO業界が穴を突く。検索エンジンがそれを塞ぐ。
このいたちごっこが、SEOの歴史にはずっとあります。
Googleが変えた被リンクという考え方
次に大きかったのが、被リンクです。
被リンクとは、他のサイトから自分のサイトへ貼られたリンクのことです。Googleは、ページ同士のリンクを評価の手がかりにしました。ざっくり言えば、多くのサイトから参照されるページは、それだけ価値がある可能性が高い、という考え方です。
これはかなり筋の良い考え方でした。
本当に役立つページなら、他の人が紹介する。専門性のあるページなら、別のサイトから引用される。信頼できる情報なら、自然にリンクが集まる。
ところが、評価指標になると、それを操作しようとする人が出てきます。
リンクを買う。
相互リンクを組む。
大量のブログからリンクを送る。
リンクを送るためだけのサイト群を作る。
本来、リンクは「このページは参考になる」という推薦のようなものでした。でも、それが順位を上げるための道具として売買されるようになった。ここでSEOは、かなりいびつになります。
外から見ると、たくさんのサイトから評価されているように見える。
でも実態は、お金や仕組みで作られた評価です。
検索エンジンがこの問題を見逃すはずはありません。
なぜブラックハットSEOは通用しなくなったのか
ブラックハットSEOとは、検索エンジンの評価の仕組みを悪用して、本来の価値以上に順位を上げようとする施策のことです。
キーワードの詰め込み。
隠しテキスト。
被リンク購入。
リンクネットワーク。
量産記事。
中古ドメインの悪用。
大手サイト配下を使った記事量産。
名前だけ見るとバラバラですが、根っこは同じです。
読者にとって役立つ情報を増やすより、検索エンジンに高く評価される形を先に作る。ここに寄りすぎると、ブラックハットに近づきます。
Googleは、この流れに対して何度も対策してきました。
2011年のPandaは、低品質なコンテンツや薄い記事を狙ったものです。2012年のPenguinは、不自然な被リンクを狙ったものです。2016年にはPenguinがコアアルゴリズムに統合され、リンクスパムへの対策は継続的に行われるようになりました。
2020年代に入ると、問題はさらに変わります。
AI生成記事の量産。
中古ドメインの悪用。
大手サイトの一部を借りたような記事展開。
昔ながらのキーワード詰め込みだけではありません。見た目はそれなりに整っている。でも、実態としては検索流入を取るためだけに作られたページが増えていく。
2024年には、期限切れドメインの悪用、大量生成コンテンツの悪用、サイトの評判の悪用が、スパムポリシー上でも整理されました。
この流れを見ると、かなりはっきりしています。
Googleは、検索順位を不自然に操作する施策を、時間をかけて潰してきました。今たまたま効いているように見える手法でも、検索エンジン側から見て不自然なら、長くは続かないと見た方がいいです。
SEOは検索順位を操作する技術から信頼される情報設計へ
では、今のSEOでは何を見るべきなのか。
記事数だけを増やせばいい、という考え方はかなり危ういです。もちろん、必要なテーマの記事が足りないなら増やすべきです。ただし、似たような一般論の記事を量産しても、サイト全体が強くなるとは限りません。
むしろ見られるのは、もっと地味な部分です。
誰が書いたのか。
誰が監修したのか。
どの会社が運営しているのか。
問い合わせ先や会社情報は明確か。
読者の疑問に、具体的に答えているか。
古い情報を放置していないか。
主要な情報が、画像ではなくテキストとして読める形になっているか。
初心者向けに言い換えるなら、SEOは「検索エンジンをだます技術」ではなく、「検索エンジンにも読者にも、信頼できる情報だと伝わるように整える仕事」になっています。
ここは、かなり大きな変化です。
昔は、ページ単位のテクニックで勝てる場面がありました。今は、ページの中身だけでなく、サイト全体の信頼性、運営者の責任、情報の整理のされ方まで見られます。
特に医療、健康、金融、法律のような領域では、誰が責任を持っているかわからない記事は信用されにくい。これは検索エンジンの話である前に、読者として当然の感覚でもあります。
顔の見えない人が書いた健康情報。
根拠の見えない金融記事。
運営会社のわからない比較サイト。
上位表示されていたとしても、読み手はどこかで不安になります。
その不安を消すことまで含めて、今のSEOです。
これからSEOを学ぶ人が最初に理解すべきこと
SEO初心者やマーケ担当者が、最初に覚えるべきことは細かいテクニックではありません。
SEOは、検索順位だけを追うと判断を間違えます。
もちろん、順位は見ます。流入数も見ます。クリック率も見ます。Search Consoleも使います。そこから逃げる必要はありません。
ただ、順位を上げるためだけに記事を作り始めると、だいたい苦しくなります。
競合記事をなぞっただけの記事。
検索キーワードを入れただけの記事。
AIで量産しただけの記事。
誰が責任を持つのかわからない記事。
こういうページは、一時的に検索流入を拾うことがあっても、会社の資産にはなりにくいです。読者の記憶にも残りません。営業資料にも使いづらい。社内で見返しても、何のために作ったのかよくわからない記事になりがちです。
SEOで本当に積み上げるべきなのは、その会社だから言える情報です。
顧客からよく聞かれる質問。
導入前につまずきやすいポイント。
比較検討で迷われる点。
失敗しやすい選び方。
現場で得た知見。
自社が責任を持って言える判断。
こういう情報は、すぐに派手な成果が出るとは限りません。でも、検索エンジンにも読者にも伝わりやすい。何より、営業や問い合わせ対応にも使えます。
SEOは、もう裏技探しではありません。
昔のSEOを知ると、なぜ今それが危ないのかが見えてきます。キーワードを詰め込むだけでは足りない。リンクを増やすだけでも危ない。記事を量産するだけでは、むしろサイトの評価を落とすこともある。
これからSEOを学ぶなら、まずこの前提に立った方がいいです。
検索エンジンに見つけてもらう。
読者に読んでもらう。
読んだあとに、この会社は信頼できそうだと思ってもらう。
今のSEOは、そのための情報設計です。派手な裏技より、そちらに時間を使った方がいいです。
